ブラックエンペラー歴代総長一覧と現在!宇梶剛士や武勇伝の真相
歴代総長たちのなかでも、ひときわ強烈な足跡を大衆文化に刻み込んだのが7代目総長の宇梶剛士氏と、5代目幹部・本間優二氏の2人です。彼らが残した逸話は、誇張されたネットの噂を凌駕する生々しさに満ちています。
身長190cmの怪童・宇梶剛士が辿った「挫折からトップ、そして名優へ」
俳優として温厚な父親役から冷酷な悪役まで演じ分ける宇梶剛士氏ですが、その少年時代は激動そのものでした。将来を嘱望された名門高校の野球部員でありながら、理不尽な先輩からのシメ(いじめ・暴力)に反撃したことで傷害事件となり、高校野球への道を断たれます。居場所を失ったエネルギーが向かった先が、当時東京で最大の勢力を誇っていたブラックエンペラーでした。
自著『不良品』や過去のテレビ特番インタビューで語られているように、宇梶氏の武勇伝は枚挙にいとまがありません。圧倒的な体格とボクシング技術を背景に、対立グループとの抗争では常に先頭に立ち、「単身で数百人の敵対勢力と対峙した」といった数々の神話を生み出しました。しかし、7代目総長として君臨した代償は大きく、最終的には警視庁に逮捕され、少年鑑別所から少年院へと送致されることになります。
人生の転機となったのは、鑑別所の独房で読んだチャールズ・チャップリンの自伝でした。表現者として生きる決意を固めた宇梶氏は、出院後に名優・菅原文太氏の門を叩き、鞄持ちとして過酷な下積み生活を開始します。さらに錦野旦氏の付き人などを経て、劇団「美輪明宏事務所」や平幹二朗氏の舞台で実力を磨き上げました。今日、映画や舞台で圧倒的な存在感を放つ宇梶氏の肉体と言葉には、修羅場をくぐり抜けた者だけが宿す本物の陰影が刻まれています。
映画『GOD SPEED YOU!』の主演からブルーリボン賞へ輝いた本間優二の軌跡
もう一人、昭和不良史を語る上で欠かせないのが本間優二氏です。1976年に公開された柳町光男監督の伝説的モノクロ・ドキュメンタリー映画『GOD SPEED YOU! BLACK EMPEROR』において、新宿支部長として組織の内部抗争や少年鑑別所送致の危機に揺れる若き日の姿が生々しく記録されました。
演出や虚飾を一切排した同作で見せた、焦燥感と孤独を漂わせる本間氏の佇まいは映画関係者の間で大きな注目を集めます。暴走族から完全に足を洗った後、本間氏は1979年に映画『十九歳の地図』の主役に抜擢され、スクリーンデビューを果たしました。社会の底辺で鬱屈した怒りを抱える新聞配達員・吉岡勝役を熱演した本間氏は、その圧倒的な演技力で第22回ブルーリボン賞新人賞を受賞します。
その後も数々の映画やテレビドラマで唯一無二の存在感を発揮した本間氏ですが、惜しまれつつも芸能界を引退。文筆活動や自営業など表舞台から離れた生活へと舵を切りました。虚構の映画スターではなく、「本物の不良少年が芸術の高みに達した」稀有な実例として、その名は日本映画史に深く刻まれています。