世界が認めたリンゴ「ピンクレディー」の真実と厳格な栽培ルール
ピンクレディーのルーツは南半球にあります。1973年、西オーストラリア州農業省の育種家ジョン・クリップス(John Cripps)博士が、病気に強くシャープな酸味を持つ「レディウィリアムズ」と、芳醇な甘みで世界的人気を博していた「ゴールデンデリシャス」を交配。気の遠くなるような選抜試験を経て誕生したオーストラリア発祥リンゴが、正式な品種名「クリプスピンク」です。
多くの消費者が混同しがちですが、「クリプスピンク」は農林水産省や海外当局に登録された植物学上の品種名であり、「ピンクレディー(Pink Lady®)」はその果実の中でも上位等級の果実のみに許される国際登録商標です。西オーストラリア州政府およびオーストラリア林檎・梨協会(APAL)が権利を管理しており、厳しい検査規格を通過した果実にのみ、象徴的なハートマークのブランドシールが貼られます。
味わいの最大の特徴は、ピンクレディーの糖度と酸味が織りなす比類なきコントラストにあります。現代の日本のリンゴ市場は「ふじ」に代表される高糖度・低酸度の甘い品種が主流を占めてきました。しかし、ピンクレディーは一般的なふじを凌駕する糖度14〜15度前後を記録しながら、同時に0.6〜0.8%前後の強いリンゴ酸を保持しています。口に含んだ瞬間に突き抜ける爽快な酸味の奥から、力強い甘みが押し寄せる設計となっており、欧米の果実批評家からは「完熟ワインを思わせる立体的なボディ感」と評されています。
果肉細胞が極めて緻密であることもピンクレディーりんごの特徴です。細胞壁が強固なため、かじった瞬間の破砕音が心地よく、冷蔵保存下での果肉の軟化(いわゆる「ボケ」)がほとんど起きません。収穫から半年以上が経過した春先でも、もぎたてのようなクリスピーな歯ごたえを維持できる点は、他の品種には真似のできない決定的な強みです。