東風吹かば匂いおこせよ梅の花の意味と続き|菅原道真と飛梅の真相
「東風吹かば」の歌と飛梅伝説には、一般にはあまり知られていない、しかし知ると胸が締め付けられるサイドストーリーが存在します。道真の邸宅には、梅のほかに「松」と「桜」も植えられていました。道真が都を去る際、主との別れに直面した三つの木々の運命は、それぞれ決定的に分かれたと伝えられています。
伝説によれば、主人の悲劇を前にした三木の反応は以下の通りです。
- 梅:主への思慕のあまり、大空を翔けて太宰府へと飛来した(飛梅伝説)。
- 松:梅の後を追って飛び立ったものの、途中で力尽き、摂津国八部郡(現在の兵庫県神戸市須磨区・板宿)の地に舞い降りて根付いた(「飛松伝説」)。
- 桜:主人が遠くへ去ってしまう悲哀に耐えかね、主との別れを悲しむあまり、わずか数日で葉を落とし枯死してしまった。
この「梅・松・桜」の逸話は、江戸時代の浄瑠璃・歌舞伎の傑作『菅原伝授手習鑑』において、「梅王丸」「松王丸」「桜丸」という三つ子の兄弟の悲劇的な運命として見事に翻案され、日本人の精神文化に深く根を下ろしました。
また、ネット上で散見される誤解として、「この和歌は道真が太宰府に到着してから詠んだ望郷の歌である」というものがあります。しかしこれは明確な誤りです。本歌はあくまで都を離れる直前、住み慣れた我が家と梅の花に別れを告げた「惜別の歌」です。旅立つ前からすでに、自らの生還が絶望的であることを予期していたからこそ、「あるじなしとて」という諦念と愛惜が際立つのです。
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