芸能界屈指のモテ男・火野正平が見せた「色気」の正体と人間味
彼の本領が遺憾なく発揮されたフィールドの一つが、日本の伝統的な娯楽である時代劇の世界だった。1977年に放送された『新・必殺仕置人』で演じた絵師の正八役は、彼の役者としての魅力を決定づけた記念碑的なハマり役だ。ひょうひょうとした立ち振る舞いの中に、ふとした瞬間に覗かせる切なさや悲哀。その絶妙な匙加減が、作品に深い立体感をもたらしていた。
さらに後年の『鬼平犯科帳』シリーズで見せた密偵・相模の彦十役も語り草となっている。中村吉右衛門演じる長谷川平蔵との絶妙な掛け合いは、長年の時代劇ファンを唸らせた。泥臭い人間臭さと、裏社会を生き抜く男の哀愁を軽妙に演じ分ける技術。時代劇という枠組みの中で、彼が醸し出す軽やかでどこか陰のある空気感は、他の誰にも真似できない特別な味となっていた。
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