どんまいの本当の意味とは?英語圏で通じない理由と正しい敬語表現
私たちが普段使っている「どんまい」という言葉は、英語の否定命令文「Don't mind」の音声が日本語に定着したものとされています。語学学習プラットフォーム「HiNative」に集まったネイティブスピーカーの証言や解説を確認しても、「日本語の『どんまい』は、英語の“Do not mind”の発音が変化して俗語として定着したもの」と説明されています。しかし、ここに決定的な言語的断絶が存在します。
英語における「mind」は動詞で「気にする」「嫌がる」という意味を持ちます。英語圏で「Don't mind」と単体で口にした場合、主語である「I」が省略された「I don't mind.(私は気にしません/私は構いません)」という意味になり、相手の行動を自分が許容・許可するニュアンスになります。つまり、「あなたが気に病む必要はないよ」と相手を励ます表現としては、文法構造的にも語用論的にも成立しません。海外のビジネスパートナーや友人が失敗した際に、良かれと思って「Don't mind!」と声をかけても、相手は「なぜあなたが構わないと言っているのか?」と首を傾げることになります。
この表現が日本独自の「励ましの記号」へと変貌を遂げた背景には、昭和のスポーツ界、とりわけバレーボールや野球などの集団球技の現場があります。味方のサーブミスや失策に対して、テンポよく「気にすんな!」と励まし合う掛け声として「どんまい」が定着しました。その後、2001年から2006年にかけて『スーパージャンプ』で連載された漫画作品『どんまい!』(原作:矢島正雄、作画:若狭たけし/高齢化社会の介護現場を新米ホームヘルパーの視点で描いたヒューマンドラマ)のタイトルに象徴されるように、単なるスポーツ用語の枠を超えて「困難に立ち向かう人を励ます大衆語」として社会全体に深く根付いていった歴史があります。