ピサの斜塔の角度は現在何度?限界からの回復と倒れない科学の真相

ピサの斜塔の角度は現在何度?限界からの回復と倒れない科学の真相の重要なポイントについて、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

ピサの斜塔が傾いている根本的な原因は、建設地である「ピサのドゥオモ広場(奇跡の広場)」の軟弱な土壌にあります。アルノ川とセルキオ川が堆積させた砂、シルト(沈泥)、粘土が幾層にも重なる泥沼のような地盤であり、重さ約1万4,500トンもの大理石の塔を支えるにはあまりに脆い土地でした。

1173年の着工からわずか5年後、3階まで組み上がった段階で南側への沈下が始まりました。では、これほど脆弱な足元にありながら、トスカーナ地方を襲った過去4回以上の中規模〜大規模地震(マグニチュード6クラスを含む)で一度も崩壊しなかったのはなぜなのでしょうか。その謎は、ブリストル大学をはじめとする国際研究チームの解析によって解き明かされました。

その決定的な理由が、土質工学と構造力学の奇跡的な一致である「動的土質-構造物相互作用(DSSI:Dynamic Soil-Structure Interaction)」です。

地震が発生した際、通常の建物は地盤の揺れと共振を起こして激しく揺さぶられます。しかしピサの斜塔の場合、「非常に柔らかい土壌」と「極めて分厚く剛性の高い大理石・石造構造物」という極端な組み合わせによって、建物の固有振動周期が大幅に長期化しました。その結果、地震波の周期と建物の揺れが共振せず、塔に伝わる地震エネルギーが劇的に低減されるという、工学的な大逆転が起きていたのです。

加えて、高さ約56メートルに対して塔の重心が絶妙な低さに位置しており、傾斜した現在でも「重心から垂直に下ろした線」が基礎底面の範囲内にしっかりと留まっています。地盤の柔らかさが災いして傾いたものの、その柔らかさゆえに地震の破壊力から守られ続けてきた――まさに自然の皮肉とも言える物理現象が、この塔を支えています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

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