エスプレッソとは?苦いだけの誤解を解く本場の飲み方とドリップとの違い
「エスプレッソは通ぶってブラックのまま、眉間にシワを寄せて飲むもの」——もしそう思い込んでいるなら、今すぐその認識を捨ててください。イタリア現地のバール(Bar)に足を運ぶと、地元客の誰もが驚くような光景を目にします。
カウンターに立った常連客は、供されたデミタスカップに卓上のグラニュー糖をスプーン山盛り1杯、ときには2杯も豪快に投入します。そしてスプーンで底を数回軽くかき混ぜ、冷めないうちに「クイッ、クイッ」とわずか2〜3口で一気に飲み干します。
これこそが本場イタリアの砂糖を入れる飲み方の真骨頂です。砂糖がすべて溶けきる前に飲み終えるのがポイントで、カップの底には濃厚なエスプレッソと溶け残った砂糖が混ざり合い、とろりとしたビターカラメルのようなペーストが残ります。現地の人々は、これをスプーンですくってデザート(ドルチェ)のように口へ運び、満足げに微笑んでコインを置き、わずか2分で店を後にします。
この一連の動作を完璧に成立させるために作られているのが、デミタスカップの容量と特徴です。通常のコーヒーカップの半分以下(約60ml〜90ml)の小ぶりなサイズでありながら、陶器の壁面は驚くほど分厚く作られています。これは事前にカップウォーマーで熱々に温められた熱を逃さず、口唇に触れた瞬間の心地よい重みと温もりを演出するための、イタリアの工業デザインが生んだ機能美です。砂糖の甘みとコーヒーのビターなコクが融合したとき、エスプレッソは「飲み物」の枠を超え、極上の「飲むチョコレート」へと昇華します。
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