ムエタイとキックボクシングの違いを徹底解剖!ルールと強さの真相
ムエタイとキックボクシングの最大の違いを理解する第一歩は、両者の成り立ちにあります。似たシルエットを持ちながらも、一方は戦場格闘術から発展した「伝統儀礼」、もう一方はテレビ時代に設計された「近代プロスポーツ」という対極の出自を持っています。
タイの国技であるムエタイの歴史は500年以上前に遡ります。古代シャム(現在のタイ)王朝時代、隣国ビルマ(現ミャンマー)との度重なる戦争において、武器を失った兵士が素手・素足・肘・膝を駆使して生き残るための実戦武術「ムエ・ボラーン」が起源とされています。単なるスポーツではなく王室や仏教信仰と密接に結びついており、試合前には師や両親、神仏への感謝を捧げる舞踊「ワイクルー(Wai Kru)」をリング上で舞う儀礼が不可欠とされています。戦士としての精神性と神聖さを帯びている点が、ムエタイ特有の厳かな空気感を生み出しています。
一方、キックボクシングは日本発祥の格闘技です。1966年、ボクシングプロモーターであった野口修氏が、タイのムエタイに対抗し得る新しい打撃格闘技を創設しようと、空手の打撃とボクシングのパンチ技術を融合させて命名したのが直接の由来です。当時の日本テレビ系列などでゴールデンタイムに放映され、沢村忠氏の「真空飛び膝蹴り」などで爆発的なブームを巻き起こしました。つまり、キックボクシングは観客を熱狂させるエンターテインメント・スポーツとして意図的にプロデュースされた歴史を持っています。
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