鬼滅の刃・累の悲哀と狂気|偽りの家族に執着した真の理由と強さ
累がなぜ恐怖と暴力で縛り付ける「偽りの家族」に固執したのか。その動機を紐解く鍵は、彼が人間だった頃の凄惨な記憶にあります。
人間時代の累は、生まれつき体が極端に弱く、自力で歩くことすらままならない寝たきりの少年でした。走ることも外で遊ぶことも許されず、ただ部屋の中で生き長らえる日々。そんな絶望の淵に現れたのが、鬼の始祖・鬼舞辻無惨でした。無惨から血を与えられた累は、頑強な肉体を手に入れて歩けるようになりますが、それは同時に「人を喰らわなければ生きられない鬼」への変貌を意味していました。
自宅で人を喰らう息子の姿を見た両親は、深い絶望と悲しみに暮れます。そしてある夜、父親は包丁を手に取り、眠る累を刺し殺そうとしました。横では母親が涙を流しながらその様子を見守っていました。気付いた累は自衛のために両親を瞬時に返り討ちにし、自らの手で殺害してしまいます。
息絶える寸前の母が遺した言葉――「丈夫な体に産んであげられなくて……ごめんね……」。
その言葉を聞いた瞬間、累は両親の真意を悟りました。両親は累を憎んで殺そうとしたのではなく、人を殺める怪物になってしまった息子を自らの手で葬り、その罪を背負って「一家心中」する覚悟だったのです。命を投げ出してでも共に死のうとした親の究極の愛に気づいた時、累の心は完全に崩壊しました。
「自分は自らの手で本物の絆を切り裂いてしまった」という耐え難い罪悪感から逃れるため、累は「自分を殺そうとした両親こそが偽物だった」と思い込もうと記憶を歪めました。そして、失われた親子の絆を埋め合わせるかのように、他の鬼たちを力で屈服させ、父・母・兄・姉という役割を与えて「偽りの家族」を演じさせ続けたのです。
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