ハンバートハンバート「おなじ話」死別説の真相と歌詞に秘めた愛
検索エンジンで「おなじ話」と打ち込むと、関連語句に「怖い」というワードが浮上します。温かなフォークデュオの代表曲に対して、なぜこのような不穏な印象を抱くリスナーが存在するのでしょうか。そこには、日本古来の童謡や伝承文学にも通じる「異界の気配」が関係しています。
作詞・作曲を手掛けた佐藤良成は、アイリッシュ・トラッドやブルーグラス、カントリーといった欧米のルーツミュージックに深く通底しています。これらの伝統音楽では、「幽霊との対話」「死者からの手紙」「不可解な失踪」といった怪異や死生観が、日常の労働歌や子守唄の中に淡々と織り込まれるケースが珍しくありません。
「おなじ話」における「おいでよ」「いやだよ」のやり取りは、一見すると恋人同士の他愛ないじゃれ合いに見えます。しかし、男性側が「死者の国(あるいは過去)」から手招きしており、女性側が「生者の現実」に踏みとどまるためにそれを拒んでいるのだと仮定すると、童話のようなやり取りは急激にサスペンスフルな意味合いを帯びてきます。この「無邪気な童謡の仮面を被った異界への誘い」こそが、聴き手の無意識に認知的不協和を起こし、「理由のわからない恐怖」として感知される仕掛けとなっています。
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