コスパ最強の裏に潜む罠?アイリス炊飯器の実力と失敗の分岐点
かつてプラスチック成形加工から身を起こしたアイリスオーヤマ株式会社が、これほどまでに生活者の信頼を勝ち取った背景には、創業者である大山健太郎が敷いた独特の製造哲学がある。それは「ユーザーイン発想」と呼ばれる、徹底した生活者目線と引き算の美学だ。従来の白物家電業界は、一度使ったら二度と押さないような無数のボタンやオーバースペックな機能を付加し、価格を高止まりさせてきた。同社はその過剰さを冷徹に削ぎ落としたのである。
大手家電メーカーで構造改革の憂き目に遭った熟練エンジニアを積極的に登用し、大阪の研究開発拠点に集結させたことも功を奏した。技術の蓄積を最短距離で自社の調理家電開発へと移植した結果、開発スピードとコストパフォーマンスの両立が可能になった。巨大企業が数年かける新製品投入サイクルを、わずか数カ月で駆け抜ける身軽さ。既存の大手メーカーが傍観する間に、同社は市場の空白地帯をごっそりと奪い去っていったのだ。
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