鬼子母神がザクロを持つ理由とは?人肉都市伝説の嘘と仏教由来の真実
改心した鬼子母神のシンボルとして描かれる果実は、本来インドの原典では「吉祥果(きっしょうか/サンスクリット名:ビージャプーラ)」と呼ばれていました。
ビージャプーラとは、シトロン(柑橘類の一種)やザクロなど、種子を無数に含む特定の果実を指す言葉です。古代インドにおいて吉祥果は、「魔を払い、富と繁栄、幸福をもたらす聖なる果実」として神聖視されていました。釈迦が訶梨帝母に授けたのも、悪鬼を祓い福徳をもたらすこの吉祥果だったとされています。
仏教がシルクロードを経て中国へ伝わる際、この吉祥果の漢訳として、現地で親しまれていた「石榴(ザクロ)」が当てられました。中国の文化においても、ひとつの果実の中にぎっしりと種が詰まっているザクロは「多子」「豊穣」「子孫繁栄」を象徴する大変おめでたい吉祥画のモチーフでした。
つまり、鬼子母神が手に持っているザクロは「血や肉の代替品」などではなく、母性の慈愛、子孫の繁栄、そして邪悪なものを遠ざける魔除けの霊力を表す崇高なシンボルなのです。
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