公用車事故の損害賠償責任は誰に?国賠法と判例から読み解く真相
公務員が職務を遂行するために公用車を運転し、人身事故や物損事故を発生させた場合、被害者に対する損害賠償責任の枠組みを決定づけるのが国家賠償法第1条第1項です。この条文は「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」と規定しています。
かつて法曹界では「自動車の運転のような事実行為が『公権力の行使』に含まれるのか」が争われました。しかし最高裁判所は、行政庁の権力的な処分だけでなく、広く公共の安全や行政サービスの運用のための活動全般を公権力の行使に含むと解釈しています。これにより、公務中の運転で事故を起こした場合、公用車事故の損害賠償責任は一義的に自治体や国が負う仕組みが定着しています。
被害者側から「運転していた職員個人を直接訴えて賠償させたい」という請求がなされた場合、司法判断は一貫しています。公用車事故における運転手の個人責任を巡るリーディングケースである最高裁判所昭和30年4月19日判決において、最高裁は「国家賠償法第1条に基づき公務員個人は直接の損害賠償責任を負わない」と明言しました。公務員が萎縮することなく正当な職務を果たすため、対外的な責任主体を行政機関に一本化するという法意が根底に存在します。
タグ:
https://www.airram.com/sakura-express/3662836/