魔球シンカーとは?スクリューとの違い・握り方や軌道の真相解明
打者目線に立ったとき、完成されたシンカーほど厄介な球種はありません。当時の対戦打者たちの証言を検証すると、魔球シンカーの打者評判と対策には共通した苦悩が浮かび上がります。
かつて潮崎氏や高津氏と対峙した強打者たちは、「低めのボール球と分かっていても、バットの軌道にボールが飛び込んでくるように錯覚して手が出てしまう」「スイングを始めた瞬間、ボールがバットの5cm下を通過していく」と口を揃えました。シンカーに対する打者のセオリーは「低めを捨てて高めに浮いた球を叩く」ことですが、卓越した制球力を持つシンカー使いは、ストライクゾーンからボールゾーンへ正確に落としてくるため、見極めることは至難を極めました。結果として、踏み込みをワンテンポ遅らせて右方向へ逆らわずに流し打つか、投手が投球モーションに入った瞬間にシンカー一点に狙いを絞り込む以外に対策がなかったのです。
しかし、現代野球におけるシンカー投手の経緯を辿ると、投手の投球スタイルとともに大きな変化が見られます。2000年代以降、MLBを中心とした投球解析(トラックマンやホークアイ)の普及により、ボールの回転数や変化量が可視化されました。その結果、従来の「大きく曲げて落とすシンカー」は打者に見極められやすいと判断される時期があり、一時は投じる投手が減少傾向にありました。
ところが近年の野球界では、このシンカーが「ヘビーシンカー」「ラン&シンク」として劇的な復権を遂げています。150km/hを超えるスピードボールでありながら、打者の手元で強烈に沈んでゴロを量産するスタイルが、フライボール革命に対抗する最強の盾として再評価されたためです。球速を犠牲にして落差を求めるスタイルから、急速な球威を維持したまま芯を外すスタイルへと、シンカーのトレンドは大きく進化を遂げています。