過労自殺から10年・電通高橋まつり事件が変えた労働現場の深層
一人の若者の命の喪失は、国政や法制度のあり方をも根底から突き動かした。事件を契機に議論が加速した働き方改革関連法は、それまで事実上無制限に許容されていた時間外労働に罰則付きの上限を設定。日本の労働法制における歴史的な転換点となった。
監督官庁である厚生労働省の姿勢も一変した。「過労死等ゼロ」の実現に向けた特別対策班の編成や、悪質な長時間労働を繰り返す企業名の公表制度など、行政による監視と是正の網はかつてないほど強化された。労働基準監督署による是正勧告は、単なる労務上の注意にとどまらず、企業の存続や社会的信用を左右する経営リスクとして受け止められる時代へと入ったのだ。
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