なぜ怖いのに愛される?ずーしーほっきーの狂気とキモカワの真相
ずーしーほっきーを巡っては、ネット上で今なお一定の誤解が存在します。「一過性の炎上商法でバズを狙っただけ」「悪ノリした行政の悪ふざけ」という穿った見方です。しかし、筆者が当時の選定プロセスや地域の経済数値を精査する限り、その見解は明確に誤りです。
公立はこだて未来大学のプロジェクトチームが最初に行ったのは、徹底した「地方都市の埋没危機」の定量分析でした。北海道新幹線の開業において、新幹線の終点駅が「函館駅」ではなく隣町の「北斗市」に置かれること(駅名:新函館北斗駅)を知っていた全国民は、プロジェクト開始当初わずか10%台前半にすぎませんでした。無難な美少女キャラや可愛いマスコットを作っても、全国ニュースで取り上げられる秒数はゼロに等しいというのが冷徹な現実だったのです。
ずーしーほっきーが成し遂げた最大の功績は、「北斗市という自治体名」と「北寄貝」「ふっくりんこ」という2大特産品を、一切の広告宣伝費をかけずに全国のお茶の間に浸透させたことにあります。話題性だけで終わらせず、グッズ化や商標管理、市内企業による和洋菓子・酒類・アパレルへのライセンス展開を無償〜低廉な基準で迅速に整備した市の政策運用力こそが、この成功を確固たるものにしました。悪ふざけどころか、極限まで計算し尽くされた戦略的ブランディングだったのです。
【プロの結論】ずーしーほっきー現象から学ぶ自治体PRとキャラクター受容の判断基準
情報過多の時代において、ずーしーほっきーが叩き出した成果は、現代のクリエイティブ業界や自治体広報に極めて示唆に富む教訓を与えています。それは「万人に嫌われない無難な造形は、誰の心にも刺さらない」というマーケティングの真理です。
ただし、この手法を安易に真似することは極めて危険です。奇抜なキャラクター設計が機能する組織と、絶対に避けるべき組織の境界線をプロの視点からまとめました。
- この手法が向いている自治体・プロジェクト:
- 隣接する巨大都市の陰に隠れ、自力での知名度獲得に圧倒的なハンデがある地域。
- 市民投票や公聴会など、住民を巻き込んで「自分たちが選んだ」という当事者意識を醸成できる組織。
- 批判の声が上がっても、現場責任者を孤立させず守り切れる意思決定者(首長・トップ)がいる現場。
- 絶対に慎重になるべき自治体・プロジェクト:
- すでに観光基盤が強固であり、既存の上品なブランドイメージや歴史的格式を守る必要がある地域。
- 幼児教育や医療・福祉など、無条件の安心感と清潔感が最優先される領域。
- 失敗時の批判を恐れて合議制に逃げ、角を削った「中途半端な奇抜さ」しか出せない組織。