名匠が惚れ抜く怪演女優・河井青葉の真価と独占取材で迫る素顔
彼女のキャリアを振り返る上で欠かせないのが、人間の暗部や割り切れない情念を扱った骨太なヒューマンドラマの数々だ。三浦大輔監督の『愛の渦』では、剥き出しの欲望と滑稽さが交錯する密室劇の中で、観客の倫理観を揺さぶるリアルな佇まいを披露した。綺麗事だけでは済まされない男女の生々しさを、一切の衒いなく演じ切る胆力は圧巻というほかない。
また、大森立嗣監督が人間の罪と贖罪を冷徹に描いた『さよなら渓谷』でも、彼女は物語の重層的な感情を支える重要なピースとなった。決して口数の多い役柄でなくとも、伏せた視線や指先のわずかな震えだけで、その人物が背負ってきた過酷な年月の長さを物語ってしまう。どんなに過激な設定であっても、彼女が演じることで「現実に存在する誰か」へと昇華されるのだ。
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