沈黙を破る孤高の詩人・唾奇の現在地、名盤の記憶と新たな胎動の全貌
唾奇のキャリアを語る上で、稀代のプロデューサー・Sweet Williamとの化学反応を抜きにすることはできない。洗練されたサンプリングセンスと圧倒的なコードワークを誇るビートメイカーと、路地裏の詩人。全く異なる質感を持つ二人の才能が交錯した瞬間、日本の音楽産業に金字塔が打ち立てられた。
2017年にリリースされたWネーム・アルバム『Jasmine』の衝撃は、今なお色褪せない。夜の静寂に溶け込むピアノのリフ、甘美でありながらどこか影を落としたトラックの上で、唾奇のラップはかつてないほどの艶を帯びていた。「Made my day」をはじめとする楽曲群は、ヒップホップヘッズの枠を飛び越え、幅広いリスナーの琴線を揺さぶった。この作品の誕生によって、過剰に装飾しないアプローチがいかに深く人の心に刺さるかが決定づけられたのである。
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