膝を叩くと足が跳ねる理由とは?隠れた重病サインと神経の異変
ゴムハンマーで叩いても足がまったく跳ね上がらない、あるいは極めて鈍い反応しか示さない場合、反射弓という電気回路のどこかで断線や伝達速度の低下が起きている。その最大の原因として日常診療で頻繁に遭遇するのが、糖尿病性多発神経障害だ。
医学論文データベースPubMedに蓄積された数多くの臨床研究でも示されている通り、高血糖状態が長期間持続すると、微小血管の血流不全と代謝異常によって末梢の感覚神経・運動神経がじわじわと損傷していく。自覚症状として足先の痺れや冷感を自覚するより前の段階で、まず膝蓋腱反射やアキレス腱反射の減弱・消失が現れるケースは極めて多い。つまり、叩いても動かない膝は、静かに進行する血管障害の警告灯なのだ。
それだけではない。腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症によって第3・第4腰神経根が物理的に圧迫されている場合、障害された側の足だけ反射が消失する。また、急性かつ重篤な自己免疫疾患であるギラン・バレー症候群では、急速に全身の深部腱反射が失われていく。甲状腺機能低下症などの内分泌疾患でも反射の弛緩相が著しく遅延するなど、反射の消失・減弱は代謝から構造異常まで幅広い疾患の存在を物語っている。
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