映画『It』最恐トラウマ名場面の真相!なぜ観客は震えたのか
本作が放つ恐怖の正体は、日常空間が歪み、逃げ場のない狂気へと変貌する瞬間のスピード感にある。観客を戦慄させた代表的なシーンを振り返ると、監督の手腕がいかに際立っていたかがよくわかる。
第1位は誰もが息を呑んだオープニングの「ジョージーと排水溝の遭遇」だ。紙の船を追って側溝を覗き込む無垢な幼子と、暗闇から甘言を弄するペニーワイズ。親しみやすいピエロの笑顔が一瞬で肉食獣の凶暴な顎へと変形し、画面が暗転する冷酷な幕開けは、観客に「この映画は何の救いも与えない」と冷酷に宣言した。
第2位に挙げられるのは「ベバリーのバスルームで吹き出す血飛沫」だ。洗面台の排水口から噴き上がった大量の血潮が、少女の部屋の壁一面を真っ赤に染め上げる。血まみれの部屋が父親の目には見えず、ベバリーにしか知覚できないという心理的孤立の演出が、ホラー映画屈指の絶望感を生み出していた。
第3位は「スライド映写機の暴走」だろう。暗いガレージでデリーの古地図を映し出すルーザーズ・クラブの少年少女たち。勝手に切り替わるスライド写真の中で、母親の顔が次第にペニーワイズへと変化し、スクリーンを突き破って巨大な怪物が飛び出してくる。静寂から突如として訪れる阿鼻叫喚のコントラストは、劇場をパニックに陥れた。
第4位は「図書館で老女の奥に佇むピエロ」。ベンが歴史書をめくる背後、ぼやけた背景でじっとこちらを見つめ、不気味に歪んだ笑顔で静止するペニーワイズの姿は、直接的な暴力描写以上に生理的な嫌悪感を煽る名演出だ。
そして第5位が「スタンリーを襲う歪んだ肖像画の女(モディリアーニ風の怪物)」だ。少年が抱く生理的恐怖が実体化し、細長く歪んだ顔口で迫り来るビジュアルは、一度見たら夢に出てくるレベルの破壊力を持っていた。
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