十朱幸代が濡れ場で見せた女優魂!伝説の名作映画と波乱の軌跡
十朱幸代のキャリアにおける最大の転換点は、1980年代前半に訪れました。NHKの草創期を代表する名作ドラマ『バス通り裏』でデビューして以来、可憐でお茶の間に愛される「理想の娘」「良き妻」のアイコンとして君臨していた彼女が、その殻を粉々に打ち破った作品こそが1983年公開の映画『魚影の群れ』(相米慎二監督)です。
下北半島の大間を舞台に、マグロ一本釣りに命を賭ける漁師たちの過酷な生を描いた本作で、十朱幸代は緒形拳演じる主人公の元妻・エミコ役を熱演。激しく求め合う生々しい情事シーンは、当時の映画界とファンに大きな衝撃を与えました。相米監督特有の妥協なき長回し撮影の中で、生身の女の哀愁と性(さが)を赤裸々に表現したその姿は、従来のパブリックイメージを完全に凌駕するものでした。
続いて1985年には五社英雄監督の映画『櫂』に出演。大正から昭和初期の高知を舞台に、女衒(ぜげん)を生業とする夫に尽くしながらも女としての誇りを保ち続ける妻・喜和役を演じ切り、ブルーリボン賞主演女優賞をはじめとする主要な映画賞を総なめにしました。さらに1987年の『夜汽車』でも、愛欲と情念の渦に身を投じるヒロインを妖艶に演じ、名実ともに日本映画界のトップ女優へと登り詰めたのです。
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