七宝つなぎの意味と由来|円が重なる文様に宿る縁起と仏教の真相
文様としての源流をたどると、伝統文様としての七宝の歴史は非常に古く、紀元前の古代オリエントやメソポタミア地方にまで遡ります。シルクロードを経て中国へ渡り、飛鳥時代から奈良時代にかけて日本へ伝来しました。奈良の正倉院宝物に収められている「七宝繋文」の染織品や金工品は、すでに当時から高度な意匠として貴族社会で重用されていた動かぬ証拠です。
平安時代に入ると、貴族階級の衣服や調度品に用いられる格式高い「有職文様(ゆうそくもんよう)」の一つとして定着しました。ここで注目すべきは、七宝つなぎの由来となった名称の変遷です。もともとは四方八方へと均等に模様が広がっていくことから「四方(しほう)」あるいは「四方つなぎ」と呼ばれていましたが、これが次第に音変化を起こし、「しっぽう(七宝)」へと転じたという言語学的な説が広く支持されています。
一方で、この文様が「七宝」の字を当てられるようになった背景には、仏教における七宝の意味が深く関わっています。無量寿経や法華経などの仏教経典に登場する「七宝(しっぽう)」とは、金(こん)・銀(ごん)・瑠璃(るり)・玻璃(はり・水晶)・硨磲(しゃこ・大貝)・珊瑚(さんご)・瑪瑙(めのう)という7つの極めて貴重な宝物を指します。
「目に見える金銀財宝よりも、人と人との円(縁)がつながり広がる調和の輪こそが、この世の七宝と同等、あるいはそれ以上に価値があるものである」という美意識と価値観が結びつき、四方から七宝へと文字が昇華されたと伝えられています。形骸的な装飾ではなく、人間の結びつきを最上の宝とする思想が、この文様には深く刻み込まれています。
タグ:
https://aitraining.bnsf.com/hwghisey/1223447/