84歳を迎えた人間国宝・尾上菊五郎が魅せる「粋」の境地——歌舞伎座2026年公演に見る音羽屋の未来と芸の継承
客席の暗転とともに響く拍子木の澄んだ音。花道から登場する姿だけで、劇場の空気が一瞬にして江戸の街並みへと塗り替えられる。これぞ歌舞伎の醍醐味だ。
2026年、歌舞伎座の春公演。演目は音羽屋のお家芸である世話物の金字塔だ。年輪を重ねた声の美しさ、目線の切り方、着物の裾捌きに至るまで、計算し尽くされた無駄のない動き。軽妙でありながらどこか哀愁を帯びた独特の味わいは、一朝一夕に築けるものではない。観客席からは「音羽屋!」の大向うが飛び交い、伝統芸能が今まさに生きている芸術であることを強く印象付けた。
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