特攻隊「逃げた人」と呼ばれた男の真相…9回生還した秘術と葛藤
フィリピン戦線において、陸軍初の特攻部隊「万劫隊(ばんこうたい)」の一員として出撃を命じられたのが、陸軍第6航空軍に所属していた佐々木友次巡査(当時・伍長)である。彼に課せられた命令は、飛行機ごと敵艦に突入する捨て身の攻撃だった。しかし、優れた操縦技術を持つ佐々木は、爆弾を命中に成功させつつも機体を巧みに操り、生還を果たした。
一度出撃すれば「軍神」として戦死が発表される時代である。死んだはずの兵士が帰還することは、司令部にとって好ましからざる不都合な真実だった。参謀からは「なぜ死ななかった」「次こそ死んでこい」と激しく怒号を浴びせられたが、佐々木はその後も8回、計9回にわたって出撃し、その都度生きて基地へと戻ってきた。彼を突き動かしていたのは、操縦教官からの「爆弾を落として敵を倒せ。命を無駄に捨てるな」という教えだった。
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