鴻巣友季子の現在と名訳の軌跡|『嵐が丘』から結婚の真相まで解剖
鴻巣友季子の翻訳の真髄を味わうなら、まずは以下の必読リストから手に取ることを強くお勧めします。いずれも名作の概念を覆す鮮烈な体験を約束してくれます。
1.『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ著 / 新潮文庫)
旧来の邦訳にあった重苦しいイメージを一新し、ヒースクリフとキャサリンの苛烈な魂の交錯をスピーディーかつ陰鬱な美しさで描き出した記念碑的一冊。文学史上屈指の「語りのトリック」を徹底的に解き明かす訳文の凄みを体感できます。
2.『風と共に去りぬ』(マーガレット・ミッチェル著 / 新潮文庫・全5巻)
激動のアメリカ南部を生き抜いたスカーレット・オハラの咆哮が聞こえてくるような超大作。彼女のタフな横顔を際立たせるみずみずしい会話文と、歴史的文脈を丁寧にナビゲートする訳注の充実度が群を抜いています。
3.『誓願─侍女の物語・続編─』(マーガレット・アトウッド著 / 早川書房)
ディストピア文学の最高峰として世界中を震撼させた物語の続編。抑圧された監視社会の中で蠢く人間たちの心理戦を、息の詰まるような緊迫感と繊細な心理描写で硬質に訳出しています。
4.『灯台へ』(ヴァージニア・ウルフ著 / 新潮文庫)
意識の流れと呼ばれる実験的な文学手法に挑んだウルフの代表作。波のように移ろう登場人物の内面と光の描写を、詩的で美しい日本語へと見事に定着させています。
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