エノラゲイの悲劇とは何か?搭乗員発狂の真相と現在に至る葛藤

エノラゲイの悲劇とは何か?搭乗員発狂の真相と現在に至る葛藤についての真相をお届けします。

搭乗員発狂説の根拠となった最重要人物こそ、原爆投下当日に広島上空の天候を偵察した気象観測機「ストレート・フラッシュ号」の機長、クロード・イーザリー少佐です。彼はエノラゲイ本体に乗っていたわけではありませんが、観測報告によって広島への投下を決定づけた当事者でした。

戦後、民間人となったイーザリーはPTSD(心的外傷後ストレス障害)と激しい道徳的苦悩に苛まれました。罪悪感を紛らわせるために小切手偽造や無施錠の郵便局強盗といった「あえて捕まるための犯罪」を重ね、自らを罰しようとします。精神科の閉鎖病棟への入院と退院を繰り返すなか、オーストリアの哲学者ギュンター・アンダースとの間で交わした往復書簡集『ヒロシマわが罪と罰』が出版され、世界的なベストセラーとなりました。

世界平和運動のシンボルとして英雄視されたイーザリーの言動は、国際的な報道を通じて「広島に原爆を落とした米軍パイロットが良心の呵責で狂気に陥った」と誤認され、事実とフィクションが混ざり合いながら拡散していきました。エノラゲイ本体の乗組員が発狂したという噂は、このイーザリーの壮絶な精神的悲劇が、知名度の高い主機エノラゲイのクルーにそのまま投影された結果生まれたものだったのです。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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