おしんから半世紀、小林綾子が語る現在と名作の知られざる舞台裏
日本放送協会(NHK)のスタジオに張り詰めていた、あの独特の緊張感。当時10歳だった彼女が抜擢された背景には、200人を超えるオーディションの中から見出された類まれな集中力と、素朴でありながら芯の強い佇まいがあった。脚本を手掛けた橋田壽賀子が紡ぎ出す、長大で一切の妥協を許さない台詞の数々。少女にとってそれは過酷な試練だったに違いない。
冬の山形ロケでは、凍てつく最上川の冷風が吹き付け、素足に草履という過酷な条件下での撮影が連日続いた。だが、橋田壽賀子が彼女に求めたのは単なる哀れさではなく、いかなる逆境にも屈しない人間の尊厳だった。少女・おしんが見せた凛とした眼差しは、日本のテレビドラマ史における奇跡的な瞬間として刻み込まれることとなった。
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