六本木ヒルズを創った男・森稔の真実|波乱の生涯と都市再生の遺伝子
森稔が世界に提唱し続けた核心の都市思想が、バーティカルガーデンシティ(Vertical Garden City:立体緑園都市)です。建物を超高層へと垂直に積み上げることで敷地面積を足元に生み出し、空いた広大な地上空間に水と緑の回廊や広場を整備する――。平面的にコンクリートで埋め尽くされた過密都市に対する、明快な処方箋でした。
この思想の根底には、数々の象徴的な名言が息づいています。 「逃げ出す街から、逃げ込める街へ」 阪神・淡路大震災を目の当たりにした森稔は、災害時に住民や滞在者を守り抜く安全・安心の拠点でなければ都市ではないと強く訴えました。自前でコージェネレーションシステム(自家発電設備)を備え、災害時非常用物資を蓄えるインフラ設計は、後の東日本大震災でも都市の生命線を支える形で実証されることになります。
また、「都市は文化がなければ生き残れない」という言葉通り、六本木ヒルズの最上階にオフィスや高級ラウンジではなく森美術館を配置したのは象徴的な一手でした。経済性を最優先する常識を覆し、街の頂点に文化の灯を掲げた森稔の美学は、現在も他のディベロッパーには真似できない森ビルの強力なアイデンティティとなっています。
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