5万回斬られた男・福本清三の伝説|ラストサムライ抜擢と生涯の軌跡
福本清三さんの殺陣(たて)が他の俳優と一線を画していたのは、徹底した「主役ファースト」の精神と、観客の視線を奪う計算された身体表現にあります。
その代名詞となった技法が、刀を浴びた瞬間に背中を大きく弓なりに反らせて倒れる伝説の「エビ反り(海老反り)」です。斬られた瞬間に自らの顔をカメラに向けて晒し、苦悶の表情を浮かべながら激しく倒れ込むことで、主役の剣豪の強さと鋭さを最大限に引き立てました。
「自分は大根役者。だからこそ、斬られる芝居だけは日本一でありたい」と語っていた福本さん。石畳や泥水、階段の上など、過酷な足場でも躊躇なくダイブし、骨折や打撲などの怪我を負いながらも「痛い」とは決して口にしない職人気質を貫きました。名もなき悪党の死に様にすら命を吹き込むその姿勢が、監督や主演俳優たちから絶大な信頼を寄せられた理由です。
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