咳をしても一人の真相とは?尾崎放哉の絶筆に隠された切実な絶望

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放哉の身勝手で惨めな、しかしどこか人間臭い晩年を鮮烈に描き出したのが、綿密な取材と徹底した文献調査で知られる作家・吉村昭の小説『海も暮れきる』だ。吉村は放哉を単なる悲劇の主人公として神格化することなく、周囲の人々に迷惑をかけ続けた破滅的な奇行癖や無気力さをも冷徹に描写した。だからこそ、その陰に隠された文学的執念が胸を打つ。この傑作小説は後に映画『海も暮れきる』としても映像化され、多くの観客に衝撃を与えた。

日本文藝家協会の保管する当時の批評資料を見ても、放哉の生き方は大正文壇を席巻した「私小説」の精神を俳句の領域で体現したものとして位置づけられている。自らの愚かさや病の苦しみ、他者への甘えといった恥部を露悪的なまでに晒し出すスタイル。映画の作中で描かれた、暮れゆく瀬戸内海を背に一人佇む放哉の姿は、まさに句の背後に広がる深い闇を映し出していた。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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