2026年の医療現場が変える「異常な恐怖」の正体——脳科学とVrがもたらす克服への道筋
高い場所から下を見下ろしたとき、誰しも多少の足すくみを覚える。しかし、本疾患の当事者が直面するのは、そうした通常の警戒心とは根本的に異なる。「息ができない」「今すぐここから飛び降りてしまうかもしれない」といった破滅的な恐怖に一瞬で飲み込まれ、発汗、めまい、激しい心悸亢進(動悸)に襲われる。
精神医学のメカニズムにおいて、鍵を握るのは脳の「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる部位だ。本来、生命の危機を感じた際に警報を鳴らす危険察知システムが、対象となる特定の刺激に対して過剰反応を起こしている。高次な判断を司る前頭前野からの抑制ブレーキが機能しにくくなり、身体が「戦うか逃げるか」の極限状態に追いやられる。精神力や根性の問題ではない。生理学的なアラートの誤作動なのだ。
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