恵比寿に潜む伝説のリスニングバー「Bar Martha」の真髄
今日の東京を語る上で欠かせないリスニングバーの系譜を遡ると、必ず一人の人物に行き着く。それが「Martha」グループの創業者、富田正明氏だ。富田氏は渋谷の名店「BAR TRACK」をはじめ、音楽と酒が高次元で融合する空間を次々と世に送り出してきた先駆者である。
富田氏が提唱したのは、BGMとして音楽を流すのではなく、酒とともに「音を呑む」という独自の美意識だ。会話の邪魔にならない程度に控えめな音量で鳴らす一般的なバーとは対照的に、Bar Marthaでは音楽が前面に押し出される。選曲はジャンルレスでありながら、その場の空気や客の呼吸に合わせてアナログレコードが次々とターンテーブルに載せられていく。
この徹底した現場主義とクラフトマンシップが、日本のバーカルチャーに新たな地平を切り拓いた。富田氏のスピリットはスタッフ一人ひとりの所作や選曲の妙に今も息づいており、訪れるたびに異なる音楽的発見を与えてくれる。
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