創氏改名の真相|なぜ断行されたのか?強制性と氏・姓の違いを徹底検証
創氏改名を正しく理解する上で欠かせないのが、東アジアにおける「氏」と「姓」の概念の違いです。朝鮮社会において「姓」とは、男系の血統(宗族・本貫)を示す神聖かつ不変の識別記号でした。そのため、結婚しても妻の姓は変わらず(夫婦別姓)、同じ姓と本貫を持つ者同士の結婚は厳格に禁じられる「同姓同本不婚」の伝統が守られていました。
これに対し、当時の大日本帝国憲法下の日本民法は「家」を基本単位とし、家族全員が同じ「氏」を名乗る「夫婦同氏・家族同氏」を原則としていました。朝鮮総督府は朝鮮戸籍令の改正(1939年公布、1940年施行)を断行し、朝鮮の伝統的な親族体系を否定して日本本土と同じ「家制度」を強引に導入したのです。
制度設計上、新たに作られたのは家族単位の呼称である「氏」であり、血統を示す「姓」と「本貫」は戸籍の備考欄にそのまま記録され続けました。つまり形式上は「姓を奪った」のではなく「姓の上に氏を上書きした」形をとっていましたが、先祖伝来の血統と名を何より重んじる朝鮮の伝統社会にとっては、精神的なアイデンティティを根底から揺るがす過酷な制度改変に他なりませんでした。
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