スマホを置いて針を持とう。「指先デトックス」に挑む人々が都市部で急増する切実な理由
動画は2倍速で視聴し、結論から話すことが推奨される世の中だ。あらゆるものが「タイムパフォーマンス」の物差しで測られる時代において、編み物はあまりにも遅い。
1目編むのに数秒。小さなマフラーを完成させるだけでも数十時間が飛んでいく。うっかり網目を落とせば、数時間分をほどいて最初からやり直さなければならない。しかし、この「巻き戻せる不便さ」こそが、かえって現代人の心を救っている。
失敗しても画面のキャンセルボタンを押すように一瞬で消えるのではない。解いた糸を手でたぐり寄せ、もう一度編み直す。その物理的なプロセスが、完璧主義に疲れた人々の心に「やり直せる」という安心感を与えているのだ。
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