ジャンヌ・ダルク名画の嘘と真実|後世の美化と生前の素顔を徹底追跡
名画の中で象徴的に描かれるジャンヌ・ダルク甲冑姿の理由には、戦場での防御という物理的要因を超えた、切実な事情が存在しました。彼女が頑なに男装を貫き、プレートアーマーで全身を固めていたのは、荒くれ者の男たちで溢れかえる軍陣内での性被害から身を守るためでした。
中世の軍隊において、身元の定かでない女性が野営地に入ることは、暴行や略奪の対象になるリスクと隣り合わせでした。ジャンヌは髪を短く刈り込み、男性用の革のダブレット(上着)とズボンを複雑な革紐で隙間なく結び合わせ、その上にオーダーメイドの甲冑を装着することで、物理的に体を触れられない状態を作り出していたのです。
さらに、「純潔な乙女(La Pucelle)の祈りによってのみフランスは救われる」という予言を信じていた彼女にとって、処属性を失うことは神の恩寵を失うことと同義でした。男装は彼女にとって、命と信仰、そして軍事的権威を保つための不可欠な防具だったのです。皮肉なことに、異端審問裁判で彼女を死罪へと追いやった決定打の一つもまた、聖書で禁じられた「異性の服の着用」という罪状でした。
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