漢字「前」の書き順で実は大誤解?美文字に変わるプロの運筆術

漢字「前」の書き順で実は大誤解?美文字に変わるプロの運筆術の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉でご紹介しています。

漢字の成り立ちを深く知ることで、筆順の必然性はより鮮明になる。古代文字学の泰斗である白川静の学説によれば、「前」の旧字である「歬」は、足指をかたどった「止」と舟を意味する「舟」から成る会意文字であった。つまり、水の上を舟に乗って進む様子を象徴した文字だったのだ。

のちに刃物を意味する「刀(刂)」が加わり、前進する、切りそろえるといった意味合いが派生していった。現代の楷書に至る過程で左下の舟が「月」の形へと変化したが、文字の構造が持つダイナミズムは今なお息づいている。

近代書道教育の父と称される鈴木翠軒が残した端正な手本を見ても、上部の点の呼吸から下部の「りっとう」へと抜ける筆の流れには、計算し尽くされた空間の配分と美学が見て取れる。硬筆書写・書道の観点からも、「前」は楷書の基本技術がすべて詰まった珠玉の教材と言える。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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