なぜトレランは頭おかしいと言われる?100マイル狂気の心理と魅力

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ウルトラトレイルの最高峰として知られるのが、フランス・シャモニーを起点にモンブラン山群を一周する「UTMB(ウルトラトレイル・デュ・モンブラン)」です。距離約171km、累積標高差約10,000mという途方もないスケールを誇るこの大会では、毎年数々の限界突破ドラマと狂気のエピソードが生まれています。

レース後半、2日目の夜を迎える頃になると、ほぼすべてのランナーが強烈な睡眠不足と極限疲労による「幻覚」を体験します。トレイル脇の樹木が巨大な怪獣や応援してくれる家族に見えたり、存在しないはずの自動販売機やカフェが暗闇の岩肌に突如現れたりする現象は、100マイルランナーの間では日常茶飯事の笑い話として語られます。

ある国内トップランナーは、レース中にコース上の巨大な岩が「巨大なパンケーキ」に見え、かぶりつこうとして我に返った経験を明かしています。また、足元の小石がすべて小人の顔に見えて話しかけてくるなど、脳が完全に現実と幻想の境界を見失う瞬間が訪れます。

補給面でも壮絶を極めます。固形物を受け付けなくなった胃袋を抱え、ジェルや水分を流し込んでは吐き戻し、それでもカロリーを摂取しなければ低血糖で倒れるため、涙を流しながらエイドステーションのスープを飲み干します。ボロボロになった身体を引きずり、制限時間ギリギリでゲートに飛び込む姿は、スポーツというよりも人間の生存本能を剥き出しにしたドキュメンタリーそのものです。

佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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