女性寿司職人はなぜ少ない?「体温説」の嘘とミシュラン注目の現在地
長年、寿司の世界で女性が排除されてきた最大の口実が「女性は体温が高く、手の温もりで魚の鮮度が落ちる」「月経によるホルモンバランスの乱れで味覚が狂う」という説でした。名門寿司店の店主がメディアでこうした持論を語ったこともあり、一般にも広く信じ込まれてきた経緯があります。
しかし、医学的・科学的な検証において、これらの説は完全に否定されています。基礎体温そのものは女性の高温期にわずかに上昇するものの、手のひらや指先の皮膚表面温度に関しては男女差よりも個人差や外気温による影響のほうが圧倒的に大きいことがサーモグラフィ等の実験で実証されています。そもそもネタに触れる時間は一握りあたり数秒に過ぎず、体温のわずかな差異がネタの品質に影響を与えることは物理的にあり得ません。
女性寿司職人が少なかった真の理由は、生理学的な問題ではなく、歴史的・文化的な参入障壁にありました。かつての日本では、魚河岸や厨房における「血の穢れ」を忌み嫌う古い宗教観や男尊女卑の風潮が根強く残っており、それが徒弟制度の中で都合の良い「言い訳」として再生産され続けてきたのが実態です。
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