もし蚊が絶滅したら?生態系への影響と「いなくても困らない」真相
生態系への不確定要素を考慮し、現在の科学界では「地球上のすべての蚊を根絶する」という無差別な手法は取られていません。感染症を媒介する特定の危険種のみをピンポイントで標的とするバイオテクノロジーが主流となっています。
その筆頭が、CRISPR等のゲノム編集を応用した遺伝子ドライブ(Gene Drive)技術です。子孫に不妊化遺伝子や雄のみが生まれる遺伝子を高確率で受け継がせることで、特定の蚊の個体群を局所的に崩壊へと導く実験がアフリカや南米で進められています。また、英オキシテック(Oxitec)社などが主導する、成長できない雌の幼虫を生み出す「遺伝子組み換え蚊」の野外放出プロジェクトも着実に実績を上げています。
さらに、ボルバキア(Wolbachia)という共生細菌を蚊に感染させ、ウイルスを媒介する能力そのものを奪うアプローチも世界規模で定着しました。自然界の蚊を全滅させるリスクを避けつつ、人命を脅かす感染症だけをシャットアウトする「スマートな共存・制御」が現実の選択肢となっています。
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