妹島和世の名作「大倉山集合住宅」曲面壁が生む光と暮らしの真相
この建築の最も際立つ特徴は、敷地内を奔放にうねる白い曲面壁だ。建築デザイン業界において、直線的な敷地や住戸割りに曲面を取り入れることは、施工の精度やデッドスペースの発生という観点から難易度が極めて高いとされる。しかし、ここではその曲面こそが空間に生命を吹き込む最大の鍵となっている。
一般的なデザイナーズ集合住宅が「室内の広さ」や「収納量」といった数値的スペックを優先するのに対し、本作では壁がゆるやかに描くカーブによって、部屋の奥深くまで太陽の光が複雑に反射しながら届くよう設計されている。直角が存在しない部屋では、視線がどこまでも奥へと滑り、実際の床面積以上の開放感を生み出す。朝昼夕と刻一刻と表情を変える光の陰影は、住まう者にとって日々表情を変える動的なインテリアそのものだ。
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