実はサクラじゃない?水目桜が高級家具で愛される理由と本桜との違い
名前に「桜」の文字が入っているため、多くの人が春に咲くサクラの仲間を連想します。しかし、水目桜(ミズメザクラ、学名:Betula grossa)の正体はカバノキ科カバノキ属に分類される落葉高木です。植物学的にはシラカバやウダイカンバの近縁種にあたります。
それにもかかわらず「桜」と呼ばれる理由は、外見の類似性にあります。光沢を帯びた横縞模様の樹皮や、製材した際の赤褐色を帯びた色合いがヤマザクラに極めて酷似しているため、古くから木材業界で「水目桜」や「ミズメ」の名で親しまれてきました。また、枝や樹皮を傷つけるとサロメチール(湿布薬)に似た爽やかな香りの樹液が染み出すことから、「水が出る目」が転じてミズメ(水目)と呼ばれるようになったと伝えられています。
歴史的な背景を紐解くと、この木は日本古代の歴史書や『万葉集』に登場する「梓(あずさ)」の正体であるという説が有力です。神事や武具に用いられた「梓弓(あずさゆみ)」は、水目桜の強靭で弾力性に富む材質を活かして作られていました。古来より日本人の暮らしと精神文化に深く根ざしてきた特別な樹木なのです。
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