工藤会トップの死刑判決はなぜ無期に減刑?控訴審の理由と最高裁の行方

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事件の本質を理解する上で避けて通れないのが、工藤会が引き起こした4大襲撃事件の残虐性です。従来の反社会的勢力同士の抗争とは一線を画し、彼らが狙ったターゲットは警察官OBや医療従事者、一般市民でした。

発端となったのは1998年2月の元漁協組合長射殺事件です。北九州港の公共事業や砂利採取を巡る利権への介入を断固として拒絶し続けた元組合長(当時70)が、北九州市小倉北区の路上で至近距離から拳銃で撃ち抜かれ殺害されました。利権を死守する姿勢を見せつけるための見せしめ的犯行であり、工藤会の恐怖政治を象徴する幕開けでした。

さらに暴走はエスカレートします。2012年4月の福岡県警元警部銃撃事件では、長年にわたり工藤会捜査の前線に立っていた元警部が、退職後に白昼の住宅街で左足を撃ち抜かれ重傷を負いました。警察権力そのものへの報復テロという未曾有の事態に、治安当局は戦慄しました。

続く2013年1月には看護師刺傷事件が発生します。野村被告自身が受けた下腹部等の美容整形手術や脱毛治療を巡り、施術時の態度などに強い不満を募らせたとされる個人的な逆恨みが動機でした。福岡市博多区の路上で、帰宅途中の女性看護師が刃物で頭や胸を執拗に切りつけられるという無差別同然の凶行は、社会に底知れぬ恐怖を植え付けました。

そして2014年5月の歯科医師刺殺事件では、1998年に射殺された元漁協組合長の孫にあたる歯科医師が背中や太ももを刃物で刺され大けがを負いました。一族を標的にした執拗な威嚇行為であり、こうした一連の暴走を受けて、政府・警察庁は全国で唯一の「特定危険指定暴力団」に工藤会を指定。市民社会を公然と脅かす凶行の連鎖が、国家を本気にさせたのです。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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