南青山を彩る「フロム ファースト ビル」の知られざる秘密と魅力
設計を手掛けた建築家・山下和正は、当時の日本において画期的な空間概念を持ち込んだ。立方体を複雑に組み合わせる独自の幾何学的手法を取り入れ、建物内部に吹き抜けや階段、踊り場を張り巡らせることで、まるでヨーロッパの古道を散策しているかのような回遊性を生み出したのだ。伝統的なモダニズム建築が追求した機能主義や画一的な箱型デザインに対する強烈な挑戦状でもあった。
タイル一枚の焼き色から目地の深さに至るまで、山下和正のこだわりは極めて細部にまで及ぶ。単一の用途に縛られない多層的なフロア構成は、単に店舗を配置するための箱ではなく、人間が歩き、留まり、人と出会うための「都市の広場」として機能するよう設計された。この哲学こそが、半世紀にわたり建築愛好家を魅了し続ける源泉である。
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