日本の美を宿す藍「呉須」の正体と名窯が受け継ぐ奇跡の発色技術
初心者が陶芸で呉須を扱う際、最も頻繁に直面するのが「焼き上がったら色が消えてしまった」「線が滲んで真っ黒になってしまった」というトラブルだ。この課題を解決すべく、有田で40年以上にわたり染付を手がける現役の陶芸家に、失敗を防ぐ実践的なポイントを取材した。
「最大の肝は、呉須を水だけで溶かないことです」と職人は語る。天然の緑茶や微量の膠(にかわ)を加えてすり鉢で丁寧に擂ることが不可欠だという。緑茶に含まれるタンニンや膠の成分が鉱物粒子を均一に分散させ、素焼きの表面への定着を劇的に高めるためだ。濃度が濃すぎれば本焼き時に釉薬を弾いて「釉めくれ」を起こし、薄すぎれば熱で色が飛んでしまう。目安は、小皿に試し書きをした際に筆先が引っかからず、均一な半透明の皮膜ができる状態だ。
また、素焼きの器は驚くほどのスピードで水分を吸い取る。躊躇して筆を止めると絵の具が一箇所に溜まり、焼きムラの原因になる。「筆の腹に水分を十分蓄えさせ、器の表面を擦るのではなく、水滴の表面張力を滑らせるように一息で描く」。この迷いのない運筆こそが、澄んだ青を生み出す秘訣だ。
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