ジャンヌ・ダルク名画の嘘と真実|後世の美化と生前の素顔を徹底追跡
19世紀から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパの巨匠たちはジャンヌ・ダルクの生涯における決定的瞬間をキャンバスに描き残しました。彼女の足跡を名画とともに辿ることで、神話化のプロセスが鮮明に見えてきます。
天啓を受ける農村の少女を描いた代表作が、ニューヨーク・メトロポリタン美術館に収蔵されているジュール・バスティアン=ルパージュの作品『ジャンヌ・ダルク』(1879年)です。庭先で大天使ミカエルらの声を聞き、呆然と宙を見つめる少女の表情は、自然主義の手法を用いて驚くほど生々しく描かれています。美化された聖女ではなく、貧しい農村の現実に根ざした生身の人間としてジャンヌを捉え直した画期的な名作です。
一方で、悲劇の結末を描いたジャンヌ・ダルク処刑の絵画も数多く制作されました。歴史画家ポール・ドラローシュが描いた『病床のジャンヌ・ダルクを尋問するウィンチェスター枢機卿』(1824年)や、ドイツの画家ヘルマン・シュティルケによる三連祭壇画の火刑図などは、冷酷な審問官に対峙する無力な少女の崇高な殉教を描き出し、見る者の感情を揺さぶります。
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