【深層追跡】暗部を商品化した社会の代償——凄惨な猟奇殺人と日本メディアが陥った「タブーの消費」を再考する

【深層追跡】暗部を商品化した社会の代償——凄惨な猟奇殺人と日本メディアが陥った「タブーの消費」を再考するの注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。

犯行の残虐性と反社会性にもかかわらず、本事件の法的帰結は予想外の展開をたどった。フランスの精神鑑定医らは、佐川が犯行時に重度の精神変調状態にあり、刑事責任を問うことができない「心神喪失(法的には責任無能力)」状態であったと結論付けた。その結果、1983年にフランス裁判所は公訴棄却決定を下し、佐川は処罰されることなくアンリ・ルーセル精神病院へ入院措置となった。

しかし、翌1984年にフランス当局によって日本へ強制送還されると、事態はさらに複雑化した。東京都立松沢病院での再鑑定において、日本の精神科医らは「佐川は心神喪失ではなく人格障害の範囲にとどまり、刑事責任能力を有していた」との見解を示したのである。日本警察は起訴の手続きを模索したものの、フランス側が「すでに法的手続きが完了し、公訴棄却された事件」として捜査資料の全面提供を拒否。その結果、日本での起訴も不可能となり、佐川は精神病院を退院して社会へと戻る結果となった。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

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