北方謙三の現在と名作の読む順番!大水滸伝から人生相談の真相まで
北方謙三氏を語る上で欠かせないのが、若者向け情報誌『ホットドッグ・プレス』で1980年代から十数年にわたって連載された人生相談「試みの地平線」です。そこで飛び出し、ネットスラングの如く一人歩きしたのが「ソープへ行け」という伝説的な回答でした。
一見すると乱暴極まりない下ネタのような言葉ですが、当時の連載を精読すると、その背景にある真の意図が浮かび上がってきます。相談者は「女性と話せない」「失恋で死にたい」「人生がつまらない」と、自意識の迷路の中でうじうじと思い悩む10代〜20代前半の男性たちでした。
北方氏は、そうした若者たちが「頭の観念だけで悩み、現実の生身の苦痛や喜怒哀楽と向き合っていない」ことを見抜いていました。だからこそ放たれたのが、「まずは金を握りしめ、自分を丸裸にして現場へ飛び込め。自分の未熟さも恥部もさらけ出し、他者である女性の体温に触れて男としての覚悟を決めろ」という、武骨極まりないショック療法だったのです。
実際に北方氏は、単に突放したのではなく、その後に必ず「その代わり、相手の女性には最大限の礼儀と敬意を払え」「恥をかいてからが人間の始まりだ」という厳格な倫理と優しさを説いていました。「傷つかない人間はいない。傷ついたときにどう立つかが男の価値だ」という数多くの名言は、迷える当時の若者たちの背骨を確実に鍛え直しました。
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