なぜトレランは頭おかしいと言われる?100マイル狂気の心理と魅力
トレランをまったく知らない人がレースの概要を聞いたとき、真っ先に出る感想は「正気の沙汰ではない」という言葉です。そう評価されてしまうのには、明確な背景が存在します。
第1の理由は、常識外れな移動距離と獲得標高です。フルマラソンの42.195kmすら完走は容易ではありませんが、トレイルランニングのロングレースでは80kmから160km超が標準的なカテゴリーとして定着しています。しかも平坦な舗装路ではなく、岩場や泥道、急勾配の尾根を登り降りするため、累積標高差が富士山の往復数回分、あるいはエベレストの標高(8,848m)を上回るケースも珍しくありません。
第2に、過酷すぎる制限時間と睡眠剥奪が挙げられます。100マイルレースの制限時間は通常40時間から48時間前後に設定されており、選手たちは2日2晩をほぼ一睡もせずに動き続けます。夜間の山中をヘッドライトひとつの明かりで疾走する行為は、肉体のみならず精神をも極限まで削り取ります。
第3に、天候急変や内臓トラブルへの耐久戦です。標高2,000mを超える高山帯では、真夏でも夜間に気温が氷点下近くまで急降下し、暴風雨や濃霧が襲います。さらに長時間の激しい揺れによって胃腸が機能停止し、何も食べられず吐き気を催しながら歩を進めることになります。
第4に、激痛を抱えながらの前進です。足裏の皮が剥け、爪が内出血で黒く変色し、全身の関節が悲鳴を上げても、関門時間が迫れば走らざるを得ません。こうした常人離れした状況を自ら好んで受け入れる姿勢こそが、「頭がおかしい」と称される最大の要因です。
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