荻生徂徠は何をした人物か?吉宗を動かした思想と赤穂浪士切腹の真相

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柳沢吉保の隠退後、徂徠の実力に目をつけたのが「享保の改革」を推し進める第8代将軍・徳川吉宗でした。吉宗は極秘裏に徂徠に政策諮問を行い、これに応えて徂徠が書き上げた最高機密の幕政改革論が名著『政談』です。

『政談』において、徂徠は江戸社会の構造的欠陥を容赦なくえぐり出しました。特に彼が問題視したのは、「武士の江戸集住(旅宿住まい化)」と「貨幣経済への隷属」です。

平和が続いたことで、武士は本来の基盤である領地(農村)を離れ、江戸の城下町に定住するようになりました。徂徠はこの状態を「武士が江戸という巨大な宿場町に長逗留しているようなもの(旅宿の境界)」と表現しました。

都市での生活は、衣食住のすべてを商人から現金で買い揃えなければなりません。結果として、米で給料をもらう武士は米価の変動に翻弄され、商業資本を握る町人に借金を重ねて困窮していきます。徂徠が打ち出した処方箋は、極めて過激かつ具体的でした。

【『政談』が提示した主要な抜本改革案】

1. 武士の土着論(農村復帰):
困窮する旗本や御家人を江戸から引き揚げさせ、自らの領地に住まわせる。生活コストを下げると同時に、直接農民を統治して治安と生産力を回復させる。

2. 身分秩序の再編と消費統制:
身分ごとの生活様式や衣服、住居の規格を厳格にルール化し、分不相応な贅沢や消費競争を根絶して支出を抑える。

3. 制度と法による統御:
個々の役人の善意や裁量に頼る「人による統治」をやめ、合理的で明確な「法と仕組みによる統治」を確立する。

『政談』の過激な提案の多くは、幕府の既得権益層の抵抗もあり完全には実行されませんでした。しかし、吉宗が進めた「足高の制(身分の低い優秀な人材を要職に抜擢するための役職給制度)」や、公事方御定書の編纂など、享保の改革の重要政策には徂徠の思想が色濃く反映されています。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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