国籍変更の波紋と激走、猫ひろしが五輪で証明した不屈の現在地
男子マラソンの号砲が鳴り響いたのは、リオデジャネイロオリンピック(2016年)の最終日だった。冷たい豪雨がランナーの体温を容赦なく奪う悪条件の中、身長147センチの小さな背番号139がサンボドロモの石畳を駆け抜けた。
優勝したエリウド・キプチョゲがゴールしてから約30分後、猫ひろしは満身創痍でスタジアムに戻ってきた。記録は2時間45分55秒、139位。完走140人中、最下位から2番目だった。しかし、沿道から巻き起こった拍手と大歓声に、国境の区別などなかった。ゴールテープを切った瞬間、彼はカメラに向かってトレードマークのポーズを一閃させた。それは陸上競技という神聖な舞台に対する、彼なりの最大の敬意と感謝の表現だった。
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